朝が来ない夜はない

朝が来ない夜はない

The night is long that never finds the day.

​自分の人生を振り返って、私が言えることは、「世界は広い」ということ。

今の環境が全てではなく、「環境が変われば状況も変わる」。君がいじめられている学校や会社という環境は、かなりちっぽけな世界に過ぎない。そこから抜け出すことは、恥ではないよ。

そもそも、いじめは集団で行う犯罪行為。

その犯罪が毎日行われるような環境に君がいる必要性はどこにもない。

​​

「環境が変われば状況も変わる」と前述した通りその逆も然り、

「今の状況を変えたければ、環境を変えなさい」。

学校の転校や会社を転職するというのも一つの選択肢だし、そもそも自殺を考えるくらいないら、

学校や会社に行かなくていい。​

先ずは、自分の置かれた環境を変えること。

そのことで自然と状況は変わってくる。

それでも状況が変わらなければ、また環境を変えればいい。

生きている限り、何度でも人生はやり直しが出来る。

被害を受けた事のない人がよくDVを受けている被害女性に対して、「何故、そこから逃げないのか?」と言うけれど、被害にあっている当事者は自分の身を守るために自己防衛本能で物事に対する視野が狭くなってしまい、世の中が広い世界であることに気づいていない。

周りから見れば、

「何で今すぐにでもその環境を変えないのか?」

「何で自分の命を絶つ選択肢をとるのか?」

と首を傾げるだろうが、被害を受けている当事者は地獄のような毎日に絶望感を抱き、今の環境が永遠に続くと思いがちだし、辛い毎日をどう乗り切るかだけしか考えられなくなる。俯瞰して自分を見る余裕などどこにもない。


またよく、いじめの対処法として、

1.「無視する」

2.「権威ある人(先生など)に相談する、力を借りる」

3.「反撃する」

というアドバイスをする人がいるが、いずれの方法も実際にいじめにあった事がない人の全く役に立たない意見だと思う。

1.「無視する」

いじめの加害者は、いじめの被害者の反応を楽しんでいるから、「無視」をすればいいというが、

無視したって、相手は執拗に毎日いじめを行うので、「無視」は意味がない。

「無視」していれば、いずれ時間が経ち、いじめの加害者は興味を失うということもない。

むしろ被害者の無反応な態度を見て、いじめを受け入れたと思い込み、いじめは永遠に続いてしまう。

いじめの被害者が、「無視」というか「無反応」になってしまうのは、意図して行っている訳ではなく、

いじめによって心が壊れていく中で、感情が無くなっていき、「無反応」になってしまうだけ。

そうなる前に自分の心を守る行動(いじめの犯罪現場からの脱出)を取って欲しい。

2.「先生などに相談する、力を借りる」

また「先生などに相談する」という案も現実的には厳しい。学校によっては全生徒にアンケートをとって、いじめの実態を把握しようと真剣に取り組んでいる学校もあるが、多くの学校では、本気でいじめを撲滅する意気込みのある学校は少数であり、そこの先生陣もいじめの本質を理解していない人が多い。

それは、先生自体がいじめを受けた経験をしていないからだろう。

だから、いじめの本質がいつまで経っても見えてこいないこし、いじめがなくならない。

保護者の中には、学校の先生なら、自分の子供のいじめを解決してくれるだろうと思い込む人もいるが、

その信頼している先生の対策がいつも中途半端になってしまうケースが多い。

それは、先生が過去に実際にいじめの被害者の立場に立ったことがないからだ。

できる先生は、想像力で経験不足をある程度補えるが、それにも限界はある。

人が集落を作って住み始めた大昔から、いじめは存在していたと思う。

教育機関に勤めている人達に欠けているところは、

「いじめがここ数十年の歴史の浅い話ではない」という認識。

「いじめは犯罪である」という認識の欠如だろう。

本気で犯罪を無くす気がなければ、何百年、何千年も続いているこの質の悪い犯罪はそう簡単にはなくならないだろう。

現場の教師は、

「いじめの被害者にもいじめられる理由がある。」

「加害者側に回ってしまった生徒にも更生の機会を与えるべき。」

「警察沙汰にはしたくない。」​

といったモチベーションが常に働く。

こういった発想になるのは、やはり、いじめを「犯罪」として認識していないからだろう。

一般社会では、会社で上司の男性が、チーム内のコミュニケーションを取ろうとして、

女性の部下に「髪切った?似合うね。」と声をかけるだけで、受け手の女性が不快に感じた場合は、

セクハラで訴えられる時代。

一般社会は、とんでもなく世知辛い世の中になってます。

この感覚が、閉鎖された教育機関には無いと思います。

直接、「罵倒」した訳でもなく、「暴力」を振るった訳でもない。

それでも、現在の一般社会では、裁判沙汰になります。

こんな社会なのに、なんで「罵倒」や「暴力」が行われる『いじめ』が犯罪扱いされないのか、

甚だ疑問に思う。

​少年法で守らているから、未成年者は何をしてもいいんですか?

いじめの被害者が先生に相談したことが、いじめの加害者にバレたら、

また何をされるか分からない恐怖が被害者側には常にある。

教育現場では、いじめがあることを隠しがちだし、「いじめという犯罪行為」に対して、

警察が介入することを避けている。

それは、教育現場がいじめを犯罪として認識していないことの現れだし、

いじめの加害者を過度に保護してしまうことを理解していない。

そんな学校は、犯罪者にとっての天国なのでは?

そんな犯罪現場からは、いち早く逃げ出す必要があるように思う。

​ただ、本気でいじめという『犯罪』を撲滅する気概がある先生であれば、

相談することはやぶさかではない。

3.「反撃する」

正直、集団でいじめを行う加害者は、1人では行動できない「クズで小心者」であることが多い。

自分1人でガチンコで勝負できないから、仲間を集め、集団で1人を攻撃するという汚いやり方でしか生きていけないしょぼい奴なんだと思う。

私が当時、いじめの対処法として始めにとった方法はこの「反撃」だった。

加害者に対して、「お前らの思い通りにはならない!」、「やられたらやり返す!」という思いで、

半沢直樹ばりに、やられたらやり返していた。

ただ、それが理由で「こいつ生意気だ」ということになり、いじめは更にエスカレートした。

毎日、放課後の体育館倉庫に呼ばれて、集団リンチを受ける羽目に遭った。

このリンチに対する反撃も1対十数人では、どうにもならない。

勝ち目はないとわかっていたが、いつも所々で反撃をした。

がしかし、やっぱり、多勢に無勢。いつもボロボロになって終わっていた。

いじめの加害者側も慣れたもので、骨折や酷い出血をさせると病院に行くことになり、

集団リンチの実態が明るみになるので、毎回その手前でリンチを止めていた。

男の場合、タイマンのケンカなら、ケンカの力量が互角ならケンカが終わった後には

お互いを認め合うという青臭いアオハルもあるが、いじめとタイマンは明らかに違う。

この反撃という行動は、私はお勧めしない。

ただ、自己満足でしかないが、自分の身体は傷だらけにされたが、

いじめを行う「しょぼいクズの犯罪者」に反撃を行ったことによって、

自分の心は守れた気がしている。

”私という人間の尊厳までは、誰にも犯すことはできない!”

と思っていたし、反撃したことを今でも後悔はしていない。

また当時、私が唯一救われたのが、幼稚園の頃から仲が良かった同じ方向に帰る

クラスメイトが一人いた。

とある日、そいつがいじめられている私を見かねて、いじめる側には回らずに、

いつもただ私の傍に居て毎日一緒に帰ってくれたことだった。

当然、そんなことをすればいじめの対象にされてしまい、

一緒に放課後に集団リンチにあうという毎日だった。

私は「いじめられるから、俺と一緒にいないほうがいい。」と言ったが、そのクラスメイトは

「いいよ、俺、"トモダチ"だから。」

と多くを語らず、一緒に居てくれた。

それが、当時の私の心のどれだけ支えになったことか。

今でもそいつへの感謝の気持ちは忘れない。


人生は長い。時には休みだって必要。君の人生の道はいくつもある。

いじめを受けている君が責任感があり、親がいて親思いであれば尚更、環境を変えてしまうことで「親に迷惑がかかってしまう」と思うかもしれない。

でも親は子供に死なれるよりは、不登校であったほうがいい。

いじめられているという状況から抜け出そうとして、この世界から君が居なくなってしまったら、

親はどれほど苦しいことか、想像力を働かせて欲しい。

死ぬなんて言わずに、行く先の学校や会社を変えればいい。

それも出来ないのであれば、暫く学校や会社に行かなければいいだけだ。

人生は長い。時にはお休みだって必要。

学校に行かなくても人生の道は他にもいくつもある。

会社に行かなくても自分で稼ぐ会社を作ればいい。

この辛い暗闇が永遠に続く筈がない。いずれ学校も卒業する。

会社でもパワハラする上司の異動だってある。

今、君が自分を守る行動をとって環境を変えることで、明るい出口が見えてくるかもしれない。

先ずは、君が学生であれば、ご両親に今のありのままの状況を説明しなさい。

そして、どうしたいか訴えなさい。

仮に親に言いづらい場合は、「いじめ相談室」に電話かけてみなさい。

それでも、埒が明かないなら、私にメールを打ちなさい。

何かしらの出口を一緒に探せるかもしれない。

​​

自分一人で考え込まずに必ず誰かに助けを求めなさい。

きっと、今の暗闇から出口が見える筈だよ。

​この世の中、朝が来なかった夜は一度もないのだから。